インターネット通販の利用が拡大する中、宅配便の取扱量も年々増加しています。
しかし、その一方で再配達の問題も深刻化しており、労働力不足や環境負荷の増大、コストの増加といった問題を引き起こしています。

再配達の削減は私たち一人ひとりが取り組める課題です。
本記事では、再配達を減らすために有効な3つの方法についてご紹介します。
これを実践することで、トラックドライバーの負担を減らし、より持続可能な物流システムの構築に貢献できるでしょう。

再配達問題の現状とトラックドライバーへの影響

株式会社Hacobuが2025年3月に実施した全国のトラックドライバー1,271名を対象とする「働き方に関する実態調査」によれば、多くのドライバーが長時間の荷待ちや過重な労働環境に悩まされています。

荷待ち時間の長さ

1日の平均荷待ち時間が「1時間以上」と回答したドライバーが過半数を占め、特に「1時間〜2時間未満」が最多の38.5%、「2時間以上」が15.6%でした。

特に都市部での配送では、受け取り手の不在により再配達が発生することが多く、ドライバーの拘束時間が増加する要因となっています。
長時間の荷待ちが配送効率を悪化させ、結果的に労働時間が増大する原因ともなっています。

改善の実感が少ない

2024年4月以降の荷待ち時間について「大幅に短くなった」と感じるドライバーは7.7%にとどまり、依然として改善の実感が少ないことがわかります。

改善を実感していないドライバーは半数以上を占めており、荷待ち時間や再配達の負担が業務に与える影響は依然として大きいと考えられます。
ドライバーの多くは、荷主側の対策がまだ不十分であると感じており、具体的な改善策を求めています。

負担に感じる要因

特に負担を感じている要因として「荷待ち時間が長い」（49.9%）、「給与が労働に見合わない」（42.2%）、「付帯作業が多い」（41.1%）が挙げられています。

再配達によって生じる追加業務が、労働環境をさらに悪化させる原因となっています。
長時間の拘束が休憩やプライベートの時間を圧迫し、ドライバーの精神的・肉体的な負担を増大させていると指摘されています。

荷主の取り組みへの評価

荷主による荷待ち時間の短縮や受け取り方法の改善の取り組みについて、「多い」と回答したのは6.9%、「少しある」と回答したのは44.0%に留まり、全体の半数以上が改善の取り組みを十分に感じていない状況です。

荷主側での取り組み不足が、ドライバーに対するサポートの欠如として受け取られていることも多く見受けられます。
ドライバーからは「荷待ち時間の見える化」や「荷受け方法の柔軟な対応」といった具体的な改善策が求められています。

これらの状況は、荷主や受け取り側の協力によって改善される可能性があります。
特に再配達を減らすことは、トラックドライバーの負担を軽減し、物流業界全体の効率化に大きく貢献することが期待されます。

再配達削減のための3つの方法

宅配ボックスの活用

自宅に宅配ボックスを設置することで、不在時でも荷物を受け取れる環境を整えることができます。
特に大容量で複数回投函可能、防水性に優れた製品は、再配達削減に大きく貢献します。

メリット
・24時間いつでも荷物を受け取れる
・選べる設置方法やゼロリターンキーなどセキュリティ対策が施されている
・雨天時でも安心して利用できる

デメリット
・設置にコストがかかる
・設置スペースが必要
・盗難や破損のリスクがゼロではない

置き配の利用

指定した場所に荷物を置いてもらう「置き配」は、対面での受け取りが不要となり、不在時でも荷物を受け取れる利便性があります。
特に仕事や外出が多い方にとっては有効な方法です。

メリット
・対面での受け取りが一切不要
・配達時間に縛られない

デメリット
・セキュリティの課題が大きい
　※防犯カメラや専用ボックスを併用することで安全性を高める必要あり
・悪天候時の荷物の劣化や破損が懸念される
　※置き配指定箇所に防水カバーや耐候性のあるボックスを配置することが推奨

受け取りスポットの利用

コンビニエンスストアや街中に宅配ロッカーといった受け取りスポットを利用することで、自分の都合の良い時間に荷物を受け取ることが可能です。

メリット
・好きな時間に好きな場所で受け取り可能
・比較的安全な場所での受け取りが可能

デメリット
・受け取りに行く手間がかかる
・荷物のサイズや重量に制限がある

各方法の比較とおすすめポイント

方法	利便性	セキュリティ	費用
宅配ボックス	高い	高い	初期費用
置き配	非常に高い	低い	低コスト
受け取りスポット	中程度	高い	無料または少額

ユーザーのライフスタイルやニーズに合わせた選択が重要です。
例えば、不在が多い方には「置き配」や「宅配ボックス」が最適であり、セキュリティを重視する場合は「宅配ボックス」や「受け取りスポット」を利用するのが良いでしょう。

宅配ボックス・置き配・受け取りスポットの利用による効果

これらの受け取り方法を利用することで、再配達を減らすことができます。その結果、次のような効果が期待されます。

トラックドライバーの負担軽減：再配達を減らすことで、配達効率が向上し、ドライバーの負担を軽減できます。

環境負荷の削減：再配達による余分な燃料消費を抑えることで、CO2排出量を削減できます。
コスト削減：再配達にかかるコストを抑えることで、物流全体の効率を高めることができます。

まとめ：自分に合った受け取り方法を取り入れよう

再配達問題の解決には、私たち一人ひとりの行動が不可欠です。
宅配ボックスの設置や置き配の利用、受け取りスポットの活用を取り入れることで、再配達を減らし、物流業界の負担を軽減することができます。

ぜひ、自分に合った受け取り方法を選び、再配達のない快適な生活を実現しましょう。